マッチメーカー目次へ戻ります【第8話】初陣、波瀾の幕開け−8
「壊すつもりはなかったのですけどね。うふふ」
 池上は、完全に試合を楽しんでいるようだ。
『ミケ、ドリルクローが破壊されました。ミケ、……聞いてるんですか、ミケ!』
「ドリルクローが破壊された!?」
『申し訳ありません、ミケ。すべて避け切れませんでした。ただ、他の箇所に異常はあり
ませんので、すぐに次の行動に移れます』


「くそ!!ドリルクローを破壊されたか。まあ、全弾打ち尽くした後だから、まだ良かっ
た…か…」
 トミーは、ブース内を右往左往しながら試合の状況を見守っている。もう、じっとはし
ていられなかった。誰が見ても、試合状況は敵のほうが有利だった。
「落ち着け、トミー」
 静かにそう言ったのは、サムスだった。
「…後は…ミケに任そう…我々にはもはや…見守ることしかできん」
 その言葉に、誰も異議を唱えるものはなかった。


『さおり。相手は現在、当初よりの攻撃予定距離にいます』
「相手に急速接近して攻撃に移りますよ」
 冷静な池上に対して、ミケは完全に焦っていた。
『ミケ。敵は、自らこちらの狙い通りの所に移動してくれました。攻撃の続行を』
「現在位置をキープして。最適攻撃位置にぉプログラムを実行!」
 ミケは、ナックルボンバー+のトリガーに手を掛けたまま、その場で敵を待ちかまえる


「…!!」
「…?どうした、サムス」
 サムスの強張った表情に気付いたトミーは、心配げに声を掛ける。
「ま、まずいぞ!敵は、カウンターを狙うつもりだ!奴から近付いてきたのは、罠だ!」
「な、何だって!?畜生!すぐにミケに通信を…!!」
 トミーは通信機のスイッチを押そうとした刹那、悪夢が起きた。
『ミケ、相手との相対距離が2になります。ナックルボンバー+の射程内に入りました。
今度こそしとめてください』
「分かってるって…ターゲット、ロックオン!目標敵AK左手!」
『これが最後の攻撃です』
「ろけぇっとおぉぉ・ぱあぁぁんちぃぃーーー!!」

ガギイイイィィィン…<

 スター・アトランティスから放たれた、最後の鋼鉄の拳は、無情にもファティマ・ダル
クのシールドで防がれてしまった。
「ばか、ばか、ばか」
 ミケは、コンソールパネルを悔しげに叩く。その間にも、ファティマ・ダルクは、ぐん
ぐんとスター・アトランティスとの間合いを詰める。
『敵よりの攻撃。しかし、この程度ならシールドで無効化できます。シールド装甲値2減
少、現装甲値4。さおり、ガトリングポッドAの射程内に入りました』
「これで、ジ・エンドね」
『さおり、今です!!』
「さようなら、子猫ちゃん」

ドルルルル!!!

ドンドン…グオオオォォォン…!!!

『5弾中、3弾命中。敵アーマードナイトに攻撃命中』
 ファティマ・ダルクの放った弾丸は、STAR−ATLANTISの胴体に命中してい
た。

ドンドン…パーン!!

パン!スパパパ…パン!!!

「きゃあああああー!!」
 目の前にある、計器という計器が火花を出して弾け散る。弾け散ったガラスなどの破片
が、ミケの体を襲った。破片の一部はパイロットスーツを引き裂き、一筋の赤い傷を生み
出す。コクピット内は真っ赤な警告灯が点滅し、警報音が耳を劈くばかりだ。むせ返るほ
どの煙も充満し、咳き込む。


『敵胴部破壊、敵アーマナイト作動停止しました』
「コックピットさえ潰せば、誘爆もさせずに倒せます」
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